2012年12月19日水曜日

Extensive Reading

 最終ゼミを終え、東京都市大学の山崎朝子教授によるフォーラムに出席してきました。

 テーマは多読 (extensive reading) についてでした。多読の目的や効果について、ご自身のdisertationや各国の先行研究から得られている知見を織り交ぜながら、初心者にも解り易いよう丁寧にお話されていました。個人的には先行研究のセクションについてもっと具体的なデータが欲しいと感じましたが、限られた時間の中で無駄を削ぎ落とし、有意義な発表の骨子をデザインするのは本当に大変なことであると感じました。先生は当日の朝に入念なリハーサルを行い、時間配分に合わせて内容を調整されていたようでした。かなり熟練したその道の専門家ですらそういった事前準備を怠ることはしないようです。思わず背筋が伸びるような思いでした。

 graded readersのような多読教材を高等学校の文脈で扱うことは少し難があるかもしれませんが、生徒の熟達度に合わせた読解指導の一つとして、学級文庫の中に積極的によいものを取り入れていくことが望まれます。先生は講演の中で、全くそういった教材の設備がない学校で多読活動を一から始めるは、配本の交換時期等も考慮して、40人クラスで最低でも200冊を用意できるとよいとアドバイスされていました。長期的な視野に立つと少なくともその倍は必要になるかもしれません。学校との予算の兼ね合いもあるでしょうし、生徒の意欲にも大きく左右される活動であるとは思いますが、先行研究に裏付けられた多読の目的や背景をきちんとおさえた上で実践に活かすことで、総合的な英語力の伸長にも繋がることが期待されます。非常に参考になる有意義な講演でした。

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