2012年12月19日水曜日

Process dissociation procedure

 とりあえず一段落。大学院生として最後の学会発表を大妻女子大学で無事終えました。 

 読んだ論文メモ。過程分離手続きのパラダイムを読解研究に応用し、推論やテキストに明示的に書かれた情報がどのように長期記憶表象に符号化されるのかを検証している。実験心理学的な色が濃い読みごたえのある文献でした。Memory, and Cognitionは必要に駆られて何本か読んだけれど、毎回難解な内容が多い気がする。その分だけ説得力の強い研究が多いです。参考になります。


Singer, M., & Remillard, G. (2004).
Retrieving text inferences: Controlled and automatic influences.
Memory, and Cognition, 32, 1223-1237.

 Abstract

橋渡し推論は命題間のつながりを特定することでテキストの一貫性の保持に寄与する。一方で精緻化推論は単により詳細なテキスト情報を特定する。橋渡し推論と明示的なテキスト情報に関しては、表象における位置づけが類似することが示唆されてきたが、精緻化推論に関しては位置づけが異なるため、これまで多くの先行研究における測定法では、橋渡し推論と明示的なテキスト情報の関係性は不可分なものであるとされてきた。本研究ではテキスト情報の長期記憶表象を査定するために、テキスト検索に寄与する統制・自動処理を分離する、拡張過程分離手続きを用いた。読解中に暗示情報の知覚処理が行われないことから、暗示情報の再認に対する自動処理の寄与は一貫して少ないことが示された。さらに、統制処理の寄与は暗示情報よりも明示情報の再認に対して高く、明示情報の概念表象がより頑健なものであることが示唆された。これらの結果は、表象の各水準、表層形式・命題的テキストベース・状況モデルにおける、明示情報と推論の非対照的な表象を反映しているものと解釈される。




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